散策study

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役に立つかはわからない知識の記録

もはやホラーな「シンデレラ」

こんにちは、とみちゃんです。

 

 

最近、ジャニーズのグループ「King & Prince」をよくテレビで見るのですが

彼らのデビューシングル「シンデレラガール」、一度は聞いたことがある方も多いと思います。

 

「シンデレラガール」とは

無名であったが、突然有名になった女性

という意味です。

 

ほかにも、「シンデレラ」は

「あの女性はシンデレラのように美しい」

など、基本ポジティブな意味で使われていますよね?

(こんな言葉使ったことも聞いたこともありませんが)

 

もちろん、ここでいう「シンデレラ」は

みなさんもご存知のあの物語からきています。

 

 

ところが、グリム童話の「シンデレラ」はかなり残酷です。

もはやホラーです。

 

今回はそんなもう一つのシンデレラをご紹介します。

 

 

ディズニーのような感動ストーリーや、子どものころに聞かされた夢物語はいったん忘れてください(O_O)

 

 

 

 

 

 

 

 

これがシンデレラ!?

 

おそらく多くの人が聞いてきたであろう「シンデレラ」は

 

継母や姉妹からいじめられていたシンデレラが、とある舞踏会の帰りにガラスの靴を落とし、その靴を見つけた王子様が靴の持ち主を探し、シンデレラと結婚する

 

というおめでたい物語ではないでしょうか?

 

 

だいたいの流れはいっしょですが、グリム童話のシンデレラがどんな物語なのかご紹介します(*゚▽゚)ノ

 

 

 

幼い頃に母親を亡くし、血のつながっていない母親やその連れ子の姉妹にひどいことをされるというのは一緒です。

 

 

 

ある日、王様が3日間舞踏会を開くことがわかります。しかも、そこに来た女性の中から王子のお嫁さんが選ばれるとのこと。

 

シンデレラの2人の姉は当然ノリノリで、気合い入りまくり。

シンデレラも舞踏会に行きたいと言いますが

「ドレスもないんだから行けるわけない」

と連れていってもらえません。

 

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シンデレラは亡くなった母親のお墓に行きます。

そのお墓のそばにはハシバミの木(↑イメージ画像)があり(シンデレラが植えたものですが経緯は省略します)

その木にシンデレラが舞踏会に行きたいと訴えると、そこにいるハトがドレスや靴を与え

シンデレラはそれを着てお城へと向かいます。

(グリム童話では、ガラスの靴ではなく、金の靴と言われています。さらにカボチャの馬車は登場しません)

 

 

お城へ着くと、シンデレラのあまりの美しさに王子も放っておけず、一緒におどることになります。

 

そんな舞踏会が3日間続き、ついに3日目。

 

1日目と2日目でシンデレラを自分のものにできなかった王子は、お城の階段に粘着物を塗るというトラップを仕掛けます。

 

しかし、それにかかったのはシンデレラの靴だけ。

 

 

後日、王子はシンデレラと結婚するために

その靴がぴったりと履ける女性を探します。

 

使者がシンデレラたちの家にやってくると、2人の姉はその靴を履こうとチャレンジします。

 

しかし、当然のごとく2人とも靴がピッタリと合いません。

 

それでも、なんとかして履きたい姉。

どうしても履かせたい継母。

 

つま先が入らない姉その1にはつま先を切りおとすように

かかとが入らない姉その2にはかかとを切りおとすように継母が言います。

 

言われた通り切りおとした姉たちでしたが

当然靴は血まみれでバレてしまいます。

 

 

 そして、最後にシンデレラがその靴を履くと

ピッタリと合います。

 

王子は、その女性こそ自分の探していた女性だとわかります。

 

 

そして、2人は結婚。

めでたしめでたし・・・

 

とはいきません。

 

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王子とシンデレラの結婚式で事件は起こります。

 

姉2人はいい男性を見つけようと結婚式に参加するのですが

教会へ行くとき、王子とシンデレラの左右に付き添う2人の姉。

 

そこへハトがやってきて2人の姉の目をつつき出し、結局姉たちは全盲になってしまいましたとさ。

 

 

で、終わりです。

 

めでたしめで・・・ん?

めでたいのか、これは?

 

 

 

 

最後、どうして?

 

さて、どうでしたか?

 

まあいろいろと思うところはあると思いますが、なぜ最後に姉たちの目がハトによってつつきだされたのか。

 

これは、目は「心の窓」と信じられており

神的存在であるハトによって「眼球除去の罰」が姉たちに与えられることにより悪が退治されていたからだと考えられています。

 

 

にしても、ねぇ・・・

 

 

 

参考

野口 芳子.「『シンデレラ』の固定観念を覆す ージェンダー学的観点からのグリム童話解釈ー.武庫川女子大紀要.2010

 

 

 

 

 

考察

 

今回、このグリム童話のシンデレラを知ってどのようなことがわかるのか

わたしなりに考えたことを少し書きます。

 

 

ディズニーなどで見るシンデレラは、とてもかよわくおしとやかなイメージがあるかと思います。

両親もおらず、いじめられてかわいそうな女性だなと感じた方もいるのではないでしょうか。

 

 

実はグリム童話のシンデレラでは、シンデレラの実の父親は存在しています。

しかし、その父親は新しい家族を大切にしたいのか

前妻の娘であるシンデレラの存在が疎ましく感じ、冷たい態度をとります。

 

結果、シンデレラは、頼れるはずの父親にも苦しみをわかってもらえず

孤独になってしまいます。

 

 

ところが、シンデレラ自身が幸せを「つかみ取った」のです。

 

それは、舞踏会に行くのを拒否されても、その思いを貫きとおして自ら行動を起こしたというところからわかります。

 

 

そして、自ら行動することのほかに

その過程で周りがサポートするのも重要だと思います。

(今回でいえば、ハトがその役割を担っているのではないでしょうか(・・?))

 

(ときに苦しいことから距離をおくことも必要だと思いますが)

周囲のサポート、そして本人の意志が環境を変える可能性を秘めているということをこの物語は伝えたかったのかもしれません。

 

 

 

ほかには、もうお気づきかと思いますが

悪いことをすれば報いはうける

ということでしょうか。

 

一番悪いと思われる継母が特になにも報いをうけていないのは気になりますが

シンデレラをいじめていた2人の姉はハトに目をくりぬかれるというかなりの報いをうけています。

 

それにつま先やかかとも切り落としてますから相当なダメージですよね(o_o)

 

まあ、切り落とすように言ったのは継母ですが

人に言われるがままに行動していたら痛い目にあうこともあるんだ

ということも言えますかね。

 

 

あ、あとはシンデレラの人間らしさも感じました。

 

どういうところかというと

姉がハトに目をくりぬかれるシーンです。

 

ハトが目をくり抜くまでには少しの時間があったと思います。

シンデレラが本当に優しい女性だったとしたら、ハトが襲うのを止めに入ったのではないかと思ったのです。

 

しかし、そうはしなかった。

そこには、自分をいじめた姉が痛い目にあっているのを見て喜んでいたのかもしれません。

(こういうのを「シャーデンフロイデ」といいます)

 

なんか人間らしくないですか?

 

 

もしかすると、シンデレラがひどい扱いに耐えてこれたのは

いつしか痛い目にあわせてやるとか、あんたたちより幸せになってやる

と復讐心をメラメラと燃やしていたからかもしれません。

 

 

 

最後に

 

最後に、知っている方もいるかもしれませんが

「シンデレラ」

というのは本名ではなくあだ名なんです。

 

本名は「エラ」。

 

家の掃除などでこき使われ、灰まみれになっていたことから

「灰かぶりのエラ」という意味の英語で

「シンデレラ(Cinder Ella)」となったのです。