散策study

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その認識間違ってるかも!? 睡眠の基礎知識

こんにちは、とみちゃんです。

 

突然ですが問題です。

このネコはレム睡眠中でしょうか?

それともノンレム睡眠中でしょうか?

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というわけで、今回のテーマは「睡眠」です。

その時間には個人差があるかもしれませんが、睡眠はだれもがする行為ですので

今回は睡眠の基本的なことについて書いていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

睡眠の種類と誤解

 

聞いたことがある方も多いかもしれませんが、睡眠には

ノンレム睡眠」と「レム睡眠

の2種類があります。

 

 

もしかすると

 

レム睡眠は浅い睡眠で、ノンレム睡眠は深い睡眠

 

ということをテレビ等で聞いたことがある方もいるかもしれません。

 

 

ところが、この

  レム睡眠=浅い睡眠 

ノンレム睡眠=深い睡眠

というのは間違いです!

 

 

なぜなら、レム睡眠時に声をかけても起きないこともありますし

ノンレム睡眠には浅い睡眠と深い睡眠が含まれているからです。

 

 

 

 

 

レム睡眠って?

 

レム睡眠」という言葉は聞いたことがある方も多いかもしれませんが

なぜ「レム睡眠」と呼ばれるのかご存知ですか?

 

 

「レム」は "REM"  と書きますが、これはある英語の頭文字をとっています。

 

その英語とは

"Rapid Eye Movement"

です。

 

日本語にすれば

「高速眼球運動」

です。

 

 

その名のとおり、レム睡眠中には眼球がすばやく動いているのです。

 

睡眠中に夢を見る場合、多くはこのレム睡眠のときに見ますが

ノンレム睡眠のときに見ることもあります。

 

 

 

 

 

ノンレム睡眠って?

 

「ノンレム睡眠」とは名前のとおり「レム睡眠でない睡眠」のことです。

 

 

先ほど、「ノンレム睡眠には浅い睡眠と深い睡眠がある」といいましたが

「ノンレム睡眠」には段階1から段階4まで、4つの段階があります。

 

 

 

段階1は、覚醒状態から徐々に意識が低下して、まどろんでいる状態(入眠期)です。

学校の授業中などにうとうとしているときがこれにあたります。

 

このとき、うとうとしている人の目を見ると左右にゆっくりと動いていることがありますが

これを "Slow Eye Movement" の頭文字をとって "SEM" (セム)といいます。

 

まわりから見ると眠っているように見えますが

本人は「眠っていない」と言うことが多いです。

 

「おいそこ! 寝るなよ!」

「いや、寝てないです!」

っていう会話があったときは

「あ、今、あいつ睡眠段階1だったんだな」

と思ってください。

 

 

 

段階2は、いわゆる「軽い睡眠」です。

まどろんでいる状態からさらに意識が低下すると、この段階2に入ります。

 

授業中にだれかの寝息が聞こえはじめたら

「あ、今、睡眠段階2に入った人がいるな」

と思ってください。

 

あとでご紹介しますが、脳波をみると「紡錘波(ぼうすいは)」とよばれる短い波があらわれるのが特徴です。

 

 

 

段階3、段階4になると、いわゆる「深い睡眠」になります。

 

脳波をみると、「デルタ波」とよばれる、とてもゆっくりとした波があらわれます。

デルタ波がどのくらい出ているのかによって段階3か段階4にわけられます。

 

 

下の図をみると、深い睡眠は睡眠の前半に集中していて、段階2やレム睡眠は後半によくでていることがわかりますね。

 

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図1:睡眠段階図(各睡眠段階("A"は覚醒)と経過時間をあらわし、黒くぬりつぶされたところはレム睡眠をあらわす)

Dement & Kleitman. Cyclic variation in EEG during sleep and their relation to eye movements, body motility and dreaming. Electroencephalography and clinical Neurophysiology 9:673-690. 1957

参考サイト 睡眠周期と生物リズム

 

 

 

 

脳波のパターン

 

実は頭の表面には微弱な電気が流れています。

かといって、頭を触るとビリビリするわけではありませんが

この脳の電気活動を頭皮上にとりつけた電極で増幅し記録したものを「脳波」といいます。

 

みなさんが普段している睡眠も、脳波は一晩の間でさまざまに変化しています。

 

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図2:意識水準と脳波パターン

Penfield & Jasper. Epilepsy and the functional anatomy of the human brain. Little Brown. 1954

参考サイト 2.意識水準と脳波パターン

 

基本的に眠りが深くなると脳波はゆっくりになると思ってください。

 

覚醒時(図の一番上の脳波)にでているのは「ベータ波」

安静閉眼時(図の上から二番目)にみられるのは「アルファ波」

そこから眠くなってくると「シータ波」があらわれます(段階1:図の上から三番目)。

さらに意識が低下すると、ゆっくりとした波になり「紡錘波」という短い波がみられます(段階2:図の赤い丸で囲った部分)。

さらに眠りが深くなると「デルタ波」があらわれます(段階3,4:図の一番下)。

 

 

 

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図3:睡眠段階の標準判定基準(上:レム睡眠,下:段階1)

Rechtschaffen,A. & Kales,A. 1968 A manual of standardized terminology, techniques and scoring system for sleep stages of human subjects. Washington. D.C. : Public Health Service, U.S. Government Printing Office. 清野茂博(訳) 1971.睡眠脳波アトラス 標準用語・手技・判定法 医歯薬出版.一部改変

参考サイト ノンレム睡眠とレム睡眠

 

レム睡眠はというと、実は脳波だけみると睡眠段階1のときの脳波によく似ています。

 

これが「レム睡眠=浅い睡眠」という誤解がうまれた要因でもあります。

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

あらためて言いますが、「ノンレム睡眠=深い睡眠,レム睡眠=浅い睡眠」は間違いです!

 

これが今回一番伝えたかったことなので、ぜひ覚えていただけたらと思います(°▽°)

 

レム睡眠のとき、脳は覚醒時と同じかそれ以上に活動していますが、体の筋肉はほぼ脱力しており

ノンレム睡眠とはまったく異なるものです。

 

 

最初にあった写真のネコはレム睡眠かノンレム睡眠かですが

頭がまだ上がっていて骨格筋がはたらいているので

答えは「ノンレム睡眠」です。

 

力が抜けてダラ〜っと横になっているとレム睡眠です。↓

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それではまた!

 

 

 

参考図書

堀 忠雄.眠りと夢のメカニズム.2008