散策study

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役に立つかはわからない知識の記録

筋肉を疲れさせる真犯人とは・・・

こんにちは、とみちゃんです。

 

スポーツの秋ということで、今回は運動、筋肉にまつわる話です。

 

みなさん、小学校や中学校や高校の体力測定で50m走をしたことがある方も多いのではないでしょうか?

また、ジムに行って自転車みたいなのを全力でこいだことがある人もいるかもしれません。

50m走にしても自転車にしても、本気でやった後ってかなりきついですよね?

もうこれ以上力が入らないという経験をしたこともあるかもしれません。

 

私も自転車こぐやつ(エクササイズバイクとか自転車エルゴメーターとかいうみたいです)で負荷を徐々に上げていって、疲労が限界になるまでこいだことがありますが、

終わった後自転車から降りたら床に崩れ落ちて立てませんでした(;^ω^)

 

まあここまでする必要はないとは思いますが、

とにかく、高強度の運動をした後とか筋トレの後とか「今筋肉めっちゃ疲れてるやん」

って感じた事あると思います。

そのときによく「乳酸たまってるな~」って言うことよくありますよね?

まあ自分が言わないにしても誰かがそういうことを言ってるのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

確かに、実際きつい運動をすれば乳酸はたまっています。

 

そういうこともあって、

筋肉の疲れの原因=乳酸

というふうに考えている方も多いと思います。

 

しかし、その考え

間違っているかもしれません!

 

というのも、最近では

高強度の運動時に筋肉の疲労をもたらす原因物質は乳酸ではない!

という研究結果もあるからです。

 

「筋肉の疲れの原因=乳酸」という考えが生じたことを見ていくうえで重要になるのが、

pH」です。

理科の授業で、「酸と塩基」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

水溶液が酸性か塩基性アルカリ性)か、もしくは中性かを決めるのがpHです。

別の言葉でいうと、

水溶液中の水素イオン(H⁺)がどれくらいあるのかでpHが決まります。

 

何を言っているのか全く分からないかもしれませんが、

水素イオン(H⁺)が増えるとpHは下がる(=酸性)

ということはとりあえず覚えておいてください。

 

話を戻すと、過去の研究の中には

乳酸が発生して、その乳酸が水素イオンを放出することで筋肉の細胞内のpHが下がって筋肉の機能を低下させる

というものがあります。

(ちなみに乳酸から出る水素イオンがpHを下げることを「乳酸性アシドーシス」といいます)

 

確かに、細胞内のpHが下がると筋肉の機能が低下するという研究は多くあります。

しかし、ここには大きな落とし穴があって、

このような研究をするときには基本的にラットなどの動物の筋を使って実験するのですが、

筋肉の機能とpHの関係を調べた実験が行われたときの環境が、人間の体内の環境とはかなり違っていたのです。

 

そこで人間の体内に近い環境でもう一度実験をしてみると、

筋肉の細胞はpHの影響を受けないということがわかりました。

 

実験時の環境によってそんなに結果が変わるのかと驚くかもしれませんが、

人間でも、暑すぎるときや寒すぎるときにスポーツをしようとしても

思ったように体が動かなかったり、良いパフォーマンスが発揮できなかったりしますが、そのようなイメージです。

 

さらには、

そもそも乳酸が発生してもpHは下がらない!

ということも言われています。

乳酸とは別の過程でpHが低下するのではないかということが言われているのです。

 

とりあえずここまでまとめてみると、

高強度の運動をすると乳酸がたまって、筋肉の細胞内のpHは低下している

ということです。

これだけ見ると、「やっぱり疲労の原因は乳酸じゃん!」となりそうですが、

では、筋肉の疲労の原因となっている物質は何かというと、

ズバリ、無機リン酸(Pi)です!

 

なんだそれ?

って感じだと思います^_^;

 

運動するときには体のいろんなところの筋肉を収縮しているのですが、

実はカルシウムイオン(Ca⁺)が筋肉を収縮するのに必要になります。

みなさんの筋肉の中には「筋小胞体」というものがあるのですが、

この筋小胞体からカルシウムイオンが出ることで筋肉は収縮します。

 

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しかし、高強度の運動をすると、無機リン酸がたまっていきます。

そしてその無機リン酸が筋小胞体の中に入ると

筋小胞体の中にあるカルシウムイオンと結びついてしまいます(CaPi)。

結びついたものは筋肉の収縮には使われないので、

筋肉の収縮に使われるカルシウムイオンが減っていき、疲労につながっていく

ということです。

 

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話をまとめると、

・高強度運動をすると乳酸が発生する

・筋肉の細胞内のpHが下がる

・無機リン酸がたまることで筋肉の疲労が起こる

という感じです。

 

この3つが体の中で同時に起こってしまったがために、

乳酸によってpHが低下し、筋肉は疲労した」

という考えが生まれたのです。

 

以上、筋肉の疲労の原因についてでした。

説明がわかりづらかったらすみません(._.)

 

もちろんこういった研究は、

今後の研究で新しい事実とか出てくるかもしれませんが、

現時点ではこういうことが言われているというものを取り上げました。

 

それでは良い週末をお過ごしください(^^♪

 

 

文献

筋収縮における乳酸の役割,体育学研究,229-239,2006

高強度運動における筋疲労の要因:無機リン酸,グリコーゲンおよび活性酸諸種の影響,体育学研究,399-408,2006